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兼務教員

岡本 亮輔Ryosuke Okamoto

観光地を生み出す物語

観光地は、そこに何か「観るべきもの」があるからこそ成立します。
しかし、観るべきものは初めから存在しているわけではありません。
私は、観るべきものが作られるプロセスに関心を持って研究しています。これまでは宗教学・宗教社会学を専攻し、日本・フランス・スペインの聖地巡礼の研究をしてきました。サンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼、聖母出現、テゼ修道院、パワースポット・ブーム、世界遺産と宗教文化などです。
多くの聖地には、崇高な物や有難い物が置かれています。日本の寺社には御神体や御神木と呼ばれる信仰対象があります。そして聖地は、そこに神が降り立ったとか、そこで聖者が奇蹟を起こしたといった物語で満たされています。御神体は、そうした物語を事実だと信じる信者にとっては、この上なく価値のある物です。その前で祈ることで、救済や御利益を得られると信じられています。
しかし、特に信仰を持たない人にとって、これら聖なる物はどのような意味を持つのでしょうか。宗教の物語を信じない人には、御神体も、ただの大きな岩や木、落差のある滝、高い切り立った山にすぎません。重要なのは、ある物が神聖だと信じられるようになったプロセスです。
青森県に新郷村という場所があります。そこには、キリストの墓が伝わっており、50年以上、キリスト祭も続けられてきました。最初に村の神主さんがキリストの御霊を慰めるために祝詞をあげ、最後はお墓の周りで盆踊りをするというなかなかのお祭りです。
キリストの墓と祭は歴史学的・考古学的には大変怪しい存在かもしれません。しかし、毎年多くの観光客が訪れています。詳しく調べてみると、村の方々の感情や地域への帰属感がキリストの墓を聖地・観光地として成立させていることが分かります。ちなみに、新郷村にはピラミッドもあります。
観光地や聖地を作り出すのは客観的に存在する物だけではありません。観光地や聖地は、物語が生み出す拡張現実です。国内外のフィールドワークを通じて、物を価値あるものへと高める物語について考えてゆきたいと思います。

略歴

1979年東京生まれ。立命館大学文学部卒。筑波大学大学院人文社会科学研究科修了。博士(文学)。著書に『聖地と祈りの宗教社会学――巡礼ツーリズムが生み出す共同性』(春風社、2012)、『聖地巡礼――世界遺産からアニメの舞台まで』(中公新書、2015)。共編著に『聖地巡礼ツーリズム』(弘文堂、2012)、『宗教と社会のフロンティア』(勁草書房、2012)。共訳書に『宗教社会学―宗教と社会のダイナミックス』(明石書店、2008)。

准教授

【担当分野】宗教観光論、聖地巡礼論

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